研究・開発
最先端の技術を安全に
弊社はオランダのデルフト工科大学及びオランダ応用化学研究機構出身の技術者が開発したバキュームインフュージョン(真空注入/VI)法によるFRPボックス桁橋製作の技術提携をし、2014年から国内で橋梁の製作をしています。社内の技術者ををオランダへ派遣し技術を習得、オランダからエンジニアを自社工場へ招聘しそのテクノロジーを学び確かな技術を身に着けてきました。
さらに、安全を確認するため大学の研究室、公的機関の協力を得ながら各種検証を実施しています。又、サイズその他の仕様をできるだけ幅広いニーズに対応するため、研究開発に取り組んでいます。
亜麻繊維とバイオマス樹脂製FRP
~環境に配慮したGreen Composite~ |
限りある資源を大切にすること、地球温暖化を防止するためにできること何だろうと考えました。
コムテックが製作するFRP構造物は耐候性、耐塩害性に優れ、半永久的に使用可能です。よって、FRPで製作された構造物は、すでに限りある資源を大切にするSDGsの目標に貢献しているといえるでしょう。
けれど、もっとできることはないかと考えました。そして今回、素材にバイオ樹脂、亜麻繊維を使用した環境に優しい(eco-friendly)FRPを試作しました。100%天然素材の亜麻繊維と植物由来のバイオ樹脂を原料としています。
今後更に検証を重ね、環境に優しく、かつ安心して使用できる製品の開発を目指します。
サンドイッチタイプ
平板タイプ
波形タイプ
ものつくり大学、橋梁工学研究室の協力のもと、より長いサイズの橋梁製作の実現に向けて真空成型法FRPボックス桁橋の3分割接続載荷試験を実施しました。
試験内容:FRPボックス桁橋接続強度確認試験
●供試体サイズ:長さ6.3mx幅0.7mx桁高0.6m
●使用試験機:3000kN万能載荷試験機
●実験方法:桁を3分割にして接着接合をして実験を実施
●実験結果:最大荷重573kNは設計荷重相当の65kNの8.8倍であり、目標安全率の6倍をはるかに超えている。終局破壊はGFRP板の圧壊であり、接着部の剥離は生じていない。以上より、FRPボックス桁橋の桁部分を接続して製作しても安全面に問題ないことが確認された。
熊本大学、くまもと水循環・減災研究教育センターの協力のもと、製作可能な橋の延長をより長くすることを目標とし、構造材継手についての実験を実施しています。
2000kNの万能試験機を用いて材料・接合部の試験を実施するなどして弊社の橋梁製作に適した継手による接続方法を見つけて、より長いサイズの橋梁製作を目指しています。
できるだけ多くのニーズに応えるため、引き続き研究を進めて参ります。
2000kN万能試験機を用いて実施した試験状況
大阪公立大学大学院工学研究科都市系専攻、橋梁工学研究室・京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻、構造力学分野および社会基盤創造工学分野・土木学会委員の方々の協力のもと、2019年10月に架設した浦添大公園連絡橋(横断歩道橋)で振動計測実験を実施しました。
実験方法①(歩行):歩道橋中央、端部の2か所でそれぞれ1人で歩行(2Hz)し歩道橋の振動応答を計測(各10分)。
実験方法②(衝撃):橋上3か所にそれぞれ人による衝撃力を加えて歩道橋の振動応答を計測。人が飛び降りる周辺にセンサを設置し、衝撃力も測定。(各10分)
実験方法③(常時振動計測):歩行者や橋梁下を通過するトラックなどの風圧による対象橋梁の常時振動を計測。(各10〜20分)
ものつくり大学、橋梁工学研究室の協力のもと、計算上の数値と実情を比較し、安全性等を照査することを目的とし、実物大の約1/2サイズのテスト橋で曲げ・せん断の実験をしました。
●供試体:実橋の約1/2スケール(長さ6.3mx幅1.27m)のものを使用。
●使用試験機:3000kN万能載荷試験機。
●実験方法:2点載荷の4点曲げ載荷実験を行い、床版や桁が終局状態を迎える際の耐荷力と破壊状況を調査。
●実験結果:設計最大曲げモーメントに相当する計算値は、床版破壊時の曲げモーメントに対して5.9倍の安全率を有しており、実橋の安全性は十分であるといえる。
●供試体:実橋の約1/2スケール(長さ6.3mx幅1.27m)のものを使用。
●使用試験機:3000kN万能載荷試験機。
●実験方法:1点載荷の3点曲げ載荷実験を行い、桁もしくは支点上ダイヤフラムが終局状態を迎える際の耐荷力と破壊状況を調査。
●実験結果:設計最大支点反力に相当する計算値は、端支点の支圧による破壊に対して15.4倍の安全率を有しており、実橋の安全性は十分であるといえる。
2m×12mの実験橋(人道橋、緊急時1.5トン車両通行可)を用いて兵庫県工業技術センターとの共同研究の一環として載荷実験を行いました。
実験内容
2m×12mの実験橋(人道橋、緊急時1.5トン車両通行可)を用いて兵庫県工業技術センターとの共同研究の一環として載荷実験実施。
1袋350kgを24袋、合計8.4トンを床版全面に均等に載荷し、載荷過程に伴う桁のたわみ量を測定。
全載荷の状態で24時間放置し、その後脱載荷をしたところ、脱載荷直後に桁のたわみは殆ど解消されていた。又2時間後には完全に載荷前の状態に戻ったことが確認された。
ひずみ計を10か所に設置し、載荷に伴う部材のひずみ量を測定。測定した箇所のうち最大のひずみは桁底部中央。全載荷を24時間保持した後のひずみ量より算出した応力値は、実験で得た部材の引張り強さをはるかに下まわるものであり、構造部材として安全であることが確認された。
VI法ボックス桁橋は接着接合を採用しています。接着剤による積層材の組立はFRP船や風力発電の巨大な風車にも採用されています。近年は飛行機や自動車にも取り入れられ、接着接合の用途は安全性を必要とするものへと広がりを見せています。橋梁の接着接合の安全性を確認するため、熊本県産業技術センターで経年劣化の試験を実施しています。