木材の点検には、目視・触診・打診など、特殊な工具を必要としない「定性的な点検」と含水率・応力波伝播速度・穿孔スラストを必要とする「定量的な点検」の2種類があります。必要に応じて、適切な検査方法を選択し、実行します。
特殊な工具を必要としない定性的な点検
目 視
材色の変化や菌糸、子実体(きのこ)、蟻害の有無、部材の割裂、めり込み、変形等を目視で観察します。
打 診
健全な部分と腐朽している部分をハンマーで叩き、音を聴き比べることにより、腐朽の有無を判断します。
触 診
千枚通しなどを用いて材の表面を突き刺し、その抵抗具合で腐朽の有無を判断します。
測定器や工具による定量的な点検
含水率
ポータブル含水率計により、木材の含水率を測定します。腐朽している部位は、含水率が高くなることが多いので腐朽の可能性の判断材料となります。
穿孔スラスト
Φ3.0㎜程度のドリルで部材を穿孔し、そのトルク抵抗により木材内部の状況を診断します。健全部ではトルク抵抗が大きく、腐朽部分や空洞部分などではトルク抵抗の反力が小さくなります。
応力波伝播速度
ハンディタイプの応力波速度測定器で応力波の伝播時間を測定します。健全材の場合は、伝播スピードが早く、腐朽箇所がある部材では遅くなります。